近年、通話やネット接続にはスマホを利用する人がほとんどですが、自宅や事務所などで電話やパソコンを利用する機会が多い人にとって、固定電話やネット回線は依然として需要の高いものです。
ここでは、「光電話の仕組みがよくわからない」「光電話がつながらない時に対応できるか心配」という方のために、光電話がつながる仕組みや、配線に関する基礎知識について解説しています。光電話がつながらない時の配線間違いパターンについても紹介していますので、光電話の配線をおこなう際の参考にしてみてください。
■光電話がつながる仕組み
光電話の配線をおこなう前に、光電話がつながる仕組みについて解説します。
◇元来の電話はアナログ回線
光電話が普及する以前は、固定電話の回線といえば「アナログ回線」を意味していました。アナログ回線とは、NTTが全国に持つ電話局から事務所や戸建て、マンションの各家庭へとケーブルを引き込んで利用する電話専用回線のことです。
部屋の壁にコンセントのように取り付けられた「モジュラージャック」と呼ばれる部分へ専用ケーブルを差し込み、電話機とつないで使用するのが従来の固定回線となります。
◇光電話はIP電話
一方、光電話は電話専用の回線ではなく、光ファイバーを利用したインターネット網を使用しています。NTTから光回線を部屋へ引き込み使用する手順はアナログ回線と似ていますが、光電話は光回線を利用したインターネット電話(IP電話)である点がことなります。
◇光回線を使っているため、光ーアナログ変換が必要
光回線では、パソコンや電話機の電気信号(LAN)を光信号へ変換してデータの送受信をおこなう仕組みです。このため、光電話を使用する際には光信号とアナログ信号を変換する「光回線終端装置(ONU)」と呼ばれる装置が必要となります。
■光電話の配線で必要となるもの
光電話を配線するためには、いくつか必要となるものがあります。光電話を配線するために必要なものについて、1つずつ解説します。
◇光回線終端装置(ONU)
光回線をLANに変換・接続するために利用する機器です。戸建てなど、直接加入者のもとに光回線を引く場合は、必ず用意されます。
マンションなどの集合住宅ではマンション内にONUを配置し、各部屋への配線をおこなっている場合は、集合住宅向けのネット回線である「VDSL」が用いられますが、ONUとルーターが一体となった機器もあります。
◇光電話対応ルーター
光電話対応ルーターは、LANに変換された通信を接続するために用いる機器です。わかりやすくいうと、パソコンやゲーム機・テレビなどのインターネットへ接続する機器と、光回線をつなぐ装置となります。
光電話対応ルーターの場合は、電話コードを接続するためのポートがルーターの表面に用意されています。光電話の配線には、この光電話対応ルーターを用意する必要があります。
また、会社などで使われるビジネスフォンの接続には、複数の電話番号や内線に対応するため、個々の回線を集約する主装置も必要です。
◇LANケーブル
LANケーブルは、ONU、光電話対応ルーター、パソコン・ゲーム機・テレビなどをそれぞれ接続するために利用するケーブルで、光からLANに変換された通信を、お互いに伝え合うために必要なケーブルです。LANケーブルには規格があり、CAT6以上が推奨されています。
◇電話コード
電話機と光電話対応ルーターを接続するために利用するコードも必要です。これは従来の電話コードがそのまま利用できます。
◇電話機
光電話として使用する電話機を用意します。特に専用の電話機を用意する必要はなく、従来の電話機が使用可能です。
■光電話がつながらない?よくある配線間違いパターン
光電話の配線が間違っていると、光電話はつながりません。光電話の配線で間違いやすいパターンについても解説します。
◇ONUと光電話対応ルーターが「LAN」ポートで接続されている
ONUは光電話ルーターの「WAN」ポート側に接続する必要があります。WANとLANの違いは、WANが外部ネットワークへつなぐ「外側」のポートで、LANは使用する機器をつなぐ「内側」のポートと考えるとよいでしょう。
◇電話コードを光電話対応ルーターに接続していない
光電話として利用する場合、電話コードは従来のモジュラーコンセントに直接つなぐのではなく、光電話対応ルーターに接続しなければなりません。また、光電話対応ルーターと電話機が2階と1階に分かれていて、モジュラーコンセントが2階と1階でつながっている想定で接続している場合には、モジュラーコンセントが本当に2階と1階でつながっているのかを確認した方がよいでしょう。
確認が難しい場合は問題点を切り分けるため、一時的に光電話対応ルーターと電話機を直接接続してみる方法もあります。
■回線の仕組みを理解して光電話を利用しましょう
従来の固定電話は電話専用のアナログ回線を使い、光電話は光回線を使ったインターネット電話であるという違いがあります。光電話は光信号を電気信号に変換するONUという装置によって利用が可能で、光電話の使用には専用のルーターが必要です。
光電話の配線では、各家庭の部屋や事務所に設置する光電話対応ルーターに正しく接続されているかが重要となります。「光電話の配線は、光電話対応ルーターに集約する」と覚えるとよいでしょう。