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次世代規格IPv6とは?IPv4との違いや注意点をわかりやすく解説

次世代規格IPv6とは?IPv4との違いや注意点をわかりやすく解説

 

さまざまな電化製品がネットワークに接続する時代、旧来のIPv4ではIPアドレスが遠からず枯渇すると言われています。そこでインターネットプロトコルの次世代規格として登場したIPv6は、ほぼ無限大と言えるIPアドレスを生成することができます。

インターネット時代に今後主流となるIPv6とは一体どのような規格であり、IPv4とはどんな違いがあるのでしょうか。ここでは相違による注意点を含めて解説していきます。

■IPv6とは? 

IPv6とはInternet Protocol Version 6の略称で、インターネットプロトコルの次世代規格です。現在主流であるIPv4は、IPアドレスを32ビットで表現しており、組み合わせの最大数は42億9496万7296個になります。

1980年代の登場当初はインターネットの普及率がさほど高くなかったこともあり運用が安定していましたが、1990年代後半の爆発的な普及によってIPアドレスの枯渇問題が社会問題として認知されるレベルになりました。既にIANA(Internet Assigned Numbers Authority)の管理するIPv4アドレスは2011年2月3日に枯渇しており、2019年現在、アジア太平洋地域ではIPv4アドレスの在庫は事実上枯渇しています。

IPv6はそういったIPアドレス不足を解消する目的で考案され、普及されつつあります。IPv6ではIPアドレスを128ビットで表すため、組み合わせは2の128乗、事実上無限にIPアドレスを生成して使用することができます。

■IPv6とIPv4の違いとはどういう点なのか? 

IPv6とIPv4は具体的にどのような点が異なるのでしょうか。大きく3つ の特徴について解説していきます。

◇グローバルIPアドレスの数

もっとも大きな違いは、グローバルIPアドレスの数でしょう。

IPv4は事実上枯渇していますが、IPv6はほぼ無限にIPアドレスを生成することができます。

IPv4ではIPアドレスを32ビットで表現しており、使用できる数は42億9496万7296個で有限であり、2019年現在ほぼ枯渇しています。

一方のIPv6ではIPアドレスを128ビットで表現しており、使用できる数は約340澗(340兆の1兆倍の1兆倍)個と、現時点では全人類が約4.4×10の28乗個のIPアドレスを使用しても枯渇しない計算になります。 

◇通信速度

IPv4とIPv6では使用できる接続方法が異なるため、通信速度に違いが生じます。

1980年代に登場したIPv4はPPPoE(PPP over Ethernet)以外で接続ができません。PPPoEとはPPP(Point to Point Protocol)をEthernet上でも利用できるようにしたプロトコルで、ネットの接続口(網終端装置)の容量が限られているため、インターネットを利用する人が増えたりデータ通信量が増加する時間帯によっては通信速度が低下しやすく、ネットが重いという現象の原因になります。

一方でIPv6の接続方法はPPPoEとIPoE(IP over Ethernet)に対応しています。IPoEは接続口(網終端装置)ではなく、直接ネットワーク網につながるため通信速度が速く、PPPoEのようにインターネットアクセスが集中することによる速度低下の影響を受けにくくなっています。

◇NATの有無

IPv4はアドレス数の制限を回避するためNAT(Network Address Translator)を介して通信がおこなわれています。これはある種のパケットフィルタ、ファイヤーウォールとして動作しており、セキュリティ上の利点があるものの、IPsecを使用しているとNATは事実上使用できなくなってしまいます。またFTPを始めとするIPアドレスをデータとして埋め込んでいるプロトコルもNAT経由で使用すると設定が面倒になります。加えて、NATの内側の端末に対してVoIPでの呼び出しができなくなります。

IPv6はNATを介さず、パソコンなどに直接グローバルIPアドレスが割り当てられるため、インターネットの基本概念であるEnd to Endの形をとっています。元々のインターネットはPeer to Peerを前提としており、NATを使用したサーバ/クライアント型を指向するものではないため、本来のあるべき形がIPv6による通信とも言えます。

■IPv6のデメリットとは何か? 

非常に有用に思われるIPv6ですが、今現在IPv4が中心でインターネットに普及しているため、深刻なデメリットも存在します。

◇IPv4との相互通信ができない

IPv6はIPoEを採用して直接インターネットに接続されるため、NATを介すIPv4とは相互接続性がありません。IPv4ベースのホストとは直接通信できないのです。つまりIPv4とIPv6は違う経路でインターネットに接続しているため、IPv6で通信しているWebサイトをIPv4の通信環境では閲覧できません。逆も同様で、IPv4で通信しているWebサイトをIPv6では閲覧できません。

IPv6は比較的新しい技術であり、普及率ではIPv4に劣るため、多くのプロバイダで未だIPv4が中心になっています。複数のISPでIPv6のサービスが開始していますが、完全な移行にはまだ多くの時間がかかるでしょう。

とはいえ、最近では「v6プラス」などの相互接続性を持たせる技術も誕生しており、相互接続にはさほど時間はかからないのではないでしょうか。

※「v6プラス」は、日本ネットワークイネイブラー株式会社の登録商標(または商標)です。 

◇端末アドレスの追跡が可能になる

IPv6の場合、IPアドレスが有限であったIPv4と異なり端末に直接グローバルアドレスが割り振られるため、その端末のアドレスを半永久的に追跡できてしまいます。

安全に使用するためにはNICや端末を交換し、アドレスを切り替える必要があります。

ただし、実際はISPやVNE業者が回線管理をおこなうため、使用者が対策する必要はありません。自分のIPを特定され、しつこく追跡されるようなことは実際には起きません。

■まとめ

IPv4のIPアドレスが枯渇しているため、今後IPv6がインターネットの主流に置き換わっていくことは間違いありません。

デメリットと言われている相互接続の部分も普及率が高くなれば自然と解消されるため、高速通信が可能なIPv6のメリットはとても大きいと言えるでしょう。

多くのISPでIPv6の提供サービスが進んでいるため、インターネットにある種重さのような限界を感じている時はIPv6に変更しても良いかもしれません。

 

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