スイッチングハブは、元々はリピーターと呼ばれる簡単なハブよりも、上位の機能を持つハブとして登場しました。
これまでのスイッチングハブは主に通信に関する部分で進化を遂げており、現在、ハブと言えばスイッチングハブの事を指します。
更に進化をしているスイッチングハブは、高機能化や厳しい環境への進出も始めています。
電力供給するPoEの仕組み
PoEとは、パワー・オーバー・イーサーネットの頭文字を取った略語で、スイッチングハブなどが通信に用いるLANの通信線を通して、電力を接続先の機器に供給する仕組みです。
供給先の端末機器もPoEに対応していれば、AC電源などコンセントが近くに無くても設置することが出来るため、電源供給が限られた場所での利用に威力を発揮します。
PoEには2種類の規格があります。
ひとつは最大15.4Wまでの電力を1ポートごとに供給出来るIEEE802.3afという規格で、もうひとつは、IEEE802.3atで1ポートあたり最大30Wまで供給出来る規格です。
それぞれ対応するLANケーブルに違いがあり、IEEE802.3atではカテゴリー5以上のケーブルが必要です。
耐熱・耐冷・防塵・防水のPoEのメリット
耐熱・耐冷・防塵・防水など様々な環境に対応できるPoEが優れている点は多々あります。
耐熱に関しては、PoEは元々発熱しやすい機器ですが、冷却するための余計な電力消費が軽減できます。
逆に寒冷地では動作開始が不安定になる場合もあり、耐冷性能も重要です。
防塵性能は、あらゆるシチュエーションで効果を発揮します。屋内でも埃の多い所に設置される場合が多いからです。もちろん屋外対応でも重要な要素です。
防水性能を付加されたものは、屋外や調理場など、従来ネットワーク機器・電気機器が不得意としていた場所への設置にも対応できることを意味します。
つまり、耐熱・耐冷・防塵・防水機能があれば、飛躍的に設置場所の範囲が広がるということで、PoE機能と合わせるとこれまでは無線LANでしか対応出来なかったような場所でも有線の設置が可能になることを意味します。
PoEの生かせるシチュエーション
PoEは、LAN経由で電源供給する仕組みが最大の特徴です。
そのため、コンセントがなかった場所に各種ネットワーク機器を設置することが出来るようになります。
例えば、冷蔵・冷凍倉庫の奥へのIP電話設置などが可能になります。
また、PoEによりネットワークカメラを使った防犯カメラの設置なども非常に柔軟に行えます。
今まではコンセントが届く範囲でしかカメラは設置出来ませんでしたが、PoE対応のネットワークカメラなら、電源のない個所への設置が可能となります。
防水・防塵のものを選べば屋外への設置も容易になります。
PoE対応の無線アクセスポイントを使えば、無線LANの使用範囲も飛躍的に伸ばすことが出来るでしょう。
例えば、広い工場内で無線が不安定だったというような場合でも、コンセントのない場所でも無線アクセスポイントが設置できるようになるため、問題を解消する強力な手助けとなります。