PoE+(PoEプラス)とは、イーサネットケーブルを用いて電力を供給する技術で、2009年9月にIEEE 802.3atとして規格となっています。
PoE+は、それまで用いられてきたPoE(IEEE 802.3af)を拡張した技術ですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
PoEとは
PoEでは、LAN用ツイストペアケーブルを用いて給電側機器(PSE)と受電側機器(PD)をつないで電力の供給を行います。
電力の供給方法には通信用線と電力用線を共用するオルタナティブA方式と、通信用として使っていないピン・配線を電力用として使用するオルタナティブB方式があります。
PSEは2つの方式のうちいずれかに対応していれば良く、PDは両方式に対応する必要があるとされています。
また、PoEではPDの消費電力に応じてクラス0からクラス3までの4つにクラス分けされており、PSEはPD接続時のネゴシエーションによりクラスを判別し、対応した通電を始めます。
この技術により、電源ケーブルを用いた電力供給が難しい場所にある機器に対して、LANケーブルのみで電力供給ができるようになりました。
PoE+とPoEとの違い
2003年6月にPoEが規格となってから約6年後に規格化されたPoE+(PoEプラス)は、従前のPoEの上位互換と位置づけられています。
PoE+には、Type1とType2の2つの方式があり、Type1が従前のPoEと同じ方式で、Type2が新方式となっています。
Type2では、クラス3の上に新たにクラス4が設けられ、機器がPoE+に対応するにはこのクラスに対応していなければなりません。
PoE+では、許容される出力電圧の範囲は給電側・受電側ともに従来より狭くなっていますが、最大出力電流は従前の350mAから600mAに拡張され、これにともなって最大消費電力もPSEからみてポートあたり30W、これは通信線路での電力損失を考慮したもので、PDベースだと25.5Wと2倍近くに増えています。
簡単に言えば、PoE+ではPoEよりも大きな電力を給電できる機器ということになります。
PoE+を使用する際のメリットと注意点
PoE+はPoEと比べて、多く電力供給ができて適応できる機器の種類が多いのが最も大きな違いですが、これ以外にも使用できるツイストペアケーブルの種類にも違いがあり、実際に機器をつないで通電する際には注意が必要です。
PoEに対応する機器を接続するケーブルはカテゴリー3以上であれば十分でしたが、PoE+ではカテゴリー5e以上のケーブルでPSEとPDを接続しなければなりません。
LANケーブルに電力を供給すると熱が発生し、絶縁体などの劣化を早める原因ともなりますし、少なからず伝送性能にも影響がでます。